桂枝湯とはいかなる方剤なのでしょうか?真皮に集まった邪気を排泄するため、微小循環系や汗腺の活動が増し、発汗します。条文12では、陰弱と表現しています。発汗しているのに風邪が治らないのは、これらの働きが不十分で、邪気が排泄されないからです。
↑発汗
汗腺 間質液
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毛細血管静脈部 ↑ 毛細血管動脈部
間質液
発汗によって失われた循環血液は、主に、肝臓から放出される血液によって補われます。その結果、心臓へ戻る血液が確保され、必要な血液が邪気のいる行編部へと送られます。肝臓へは固有肝動脈以外に門脈からも血液が供給され、肝血液量は保持されます。
大棗は、脾胃、肝、心に取り込まれます。従って、桂枝湯を服用すると、主に、生姜が脾胃で、芍薬が肝で、桂枝が心で働き、心から出る血液を調節し、邪気排泄に有効な発汗を支えると考えられます。これが、桂枝湯の主な働きと考えます。また、桂枝湯は、甘草に導かれて、邪気がいる真皮にも集まります。邪気がいる病変部の環境を整えるのも大きな働きと考えます。しかし、発汗作用は弱いので、熱い稀粥を一升ほど啜って、温かく覆う必要があります。
*脾がどこにあるのかよく分かりません。漢方薬を服用すると、胃を通り、主に空腸の絨毛から吸収され、門脈を経由して肝臓へと運ばれます。絨毛と門脈は、脾に含まれるのかもしれません。