条文103に、太陽病、経を過ぐること十余日、反て二三之を下す。後四五日柴胡の証仍在る者は先ず小柴胡湯を与う。嘔止まず、心下急、鬱鬱微煩する者は未だ解さずと為すなり、大柴胡湯を与え之を下せば則ち癒ゆ。とあります。やはり、眠れなくなるとは書かれていません。
嘔止まず、心急下とあります。邪気は胃壁内に侵入したと考えます。鬱鬱微煩するとあります。邪気が胃壁へ向かう場合は心へ流れる熱(陽気)は少ないのです。従って、不眠とはならないでしょう。
不眠は、熱が心経脈(あるいは経別)を通り、脳へ流れていくと起きることが分かりました。
不眠の原因で多いものが、もう一つあります。血液の滋養力が低下し、睡眠に関与する部分が乱されると、不眠になります。条文86に、衄家は汗を発すべからず。汗出ずれば必ず額上陥し、脈急緊し、直視して眴す能わず、眠るを得ず。とあります。鼻血が治らないのは、脾が弱っている(脾不統血)可能性があります。また、肝の陰液が変化している可能性が高く、血液の滋養能力も落ちているでしょう。
鼻血が続いている
→脾、肝、心に負荷がかかっている
発汗する
→脾、肝、心への負荷はさらに強まる
病的な気は経脈(や経別)を通り、病変がある花の方向へ
向かいやすい。
血液による滋養不足に陥った
額を病的な肝気が通る 額上陥
目を病的な肝気が襲う 直視する
睡眠に関わる部位を病的な肝気が襲う 眠るを得ず
瞼を病的な胃気が襲う 旬す能わず
疲れた心を病的な肝気が襲う 脈急緊し