意外と多くの糖尿病患者さんが、便秘を訴えられます。原因を考え、治療したいものです。下剤を長期間服用すると、効きが悪くなるだけではなく、腸管を傷つけてしまうからです。
 条文207に、陽明病、吐さず、下さず、心煩する者は調胃承気湯を与うべし。とあります。吐さず、下さずなら、胃壁内へ流れ込んだ邪気は、絡脈の出口周辺にいるでしょう。陽気が集まるので、心煩することになります。脾経脈の分枝を通り、普段より多くの陽気が心へ流れて行ったからです。
   肺    心                →:胃経脈
   ↑    ↑                →:肺経脈
    |胃に集まった熱| -  >脾     →:脾経脈
           ↓                 
        下肢
 この段階では、胃での陽気の鬱滞は少なく、腸管からの水分吸収は多くないので、便は硬くなっていないかもしれません。
 調胃承気湯とは、いかなる方剤でしょうか?次回、詳細に分析します。